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ひきこもり・不登校からの「高校卒業」|通わなくていい? 通信制高校の仕組みと選び方を元当事者が解説

「中学で不登校になり、そのまま高校に行けずにひきこもってしまった」
「高校に入ったものの、人間関係や勉強についていけず中退し、家にいる期間が長引いている」
「今からでも『高卒資格』を取りたいけれど、毎日学校に通う自信は全くない…」

ひきこもり状態にあるご本人や、その親御さんにとって、「学歴」や「学校」に関する悩みは、将来への不安の根幹をなす非常に大きな問題です。

私自身、ひきこもっていた時期に最も苦しめられたのは、「同級生はみんな卒業して進学・就職しているのに、自分だけ時が止まっている」という強烈な劣等感でした。この「学歴コンプレックス」が、社会に出る勇気をさらに削いでしまうのです。

しかし、安心してください。現代の日本には、全日制高校(週5日通う普通の高校)以外にも、多様な学びのスタイルが確立されています。その筆頭が「通信制高校」です。

「通信制なんて…」とネガティブなイメージを持つのは昔の話です。今は不登校やひきこもり経験者の「再チャレンジの場」として、また、自分のペースで才能を伸ばす場として、積極的に選ばれる進路になっています。

この記事では、ひきこもり状態からでも無理なく通え、確実に「卒業(高卒資格取得)」を目指すための、通信制高校の選び方と活用術を徹底解説します。

なぜ、ひきこもりでも「通信制高校」なら卒業できるのか?

まず、通信制高校の仕組みが、なぜひきこもり経験者にとって相性が良いのか、その構造的な理由を解説します。

理由1:「毎日通わなくていい」単位制のシステム

全日制高校は「学年制」であり、毎日学校に行き、出席日数を満たさなければ進級できません。ひきこもり傾向のある人にとって、この「毎日行く」というプレッシャーが最大の壁です。

一方、通信制高校の多くは「単位制」を採用しています。学年という概念がなく、3年間(以上)の在籍期間中に、必要な単位(74単位)を積み上げれば卒業できます。

学習の基本は「自宅でのレポート作成(自習)」です。学校に行く(スクーリング)必要はありますが、それは「毎日」ではなく「年間数日~数週間」程度で済みます。体調が良い時だけ勉強を進めればよいため、「今日は行けなかった」という挫折感を味わうことなく続けられるのです。

理由2:「集団生活」を避けられる

「クラスメイトの視線が怖い」「集団行動が苦手」という理由でひきこもりになった場合、通信制高校は避難場所として最適です。

基本的に個人学習がメインであり、クラス単位での活動や行事が強制されることは少ないです(学校によります)。人間関係のストレスを極限まで減らし、勉強だけに集中できる環境を作ることができます。

理由3:中学の内容からやり直せる「学び直し」

不登校期間が長く、中学の勉強がほとんどできていない場合、「高校の勉強についていけるか」が不安になります。通信制高校の多くは、そうした生徒を受け入れているため、小学校・中学校の基礎(分数やアルファベットなど)から丁寧に学び直すカリキュラム(リメディア教育)を用意しています。

「勉強ができないから恥ずかしい」と感じる必要はありません。誰も見ていない自宅で、自分のレベルからこっそりと、確実に学力を取り戻すことができます。

ひきこもりタイプ別:失敗しない「学校の選び方」

一口に通信制高校と言っても、その特色は千差万別です。自分の現在の状態(ひきこもり度合い)に合わない学校を選んでしまうと、結局通えなくなり、中退してしまうリスクがあります。

ここでは、状態に合わせた3つのタイプを紹介します。

タイプ1:対人不安が強く、家から出るのが困難な場合

おすすめ:『広域通信制高校(ネットコース充実型)』

全国から入学できる私立の広域通信制高校の中で、特にインターネット活用に力を入れている学校を選びましょう。レポート提出もタブレットやPCで完結し、授業も動画視聴でOKです。

・メリット:登校日数が年間数日(最短で年3〜5日程度)で済む学校が多く、普段は誰とも会わずに学習を進められます。
・注意点:「自己管理」が求められます。ネットサーフィンやゲームの誘惑に負けず、レポートを進める意志が必要です。

タイプ2:勉強の遅れが不安で、誰かにサポートしてほしい場合

おすすめ:『通信制高校 + サポート校』の併用

これが、ひきこもりからの復帰を目指す場合に最も手厚い選択肢です。
「サポート校」とは、通信制高校の勉強(レポート作成など)を横について手伝ってくれる「塾」のような施設です。通信制高校と同時にサポート校にも入学します。

・メリット:「先生」がマンツーマンに近い形で勉強を見てくれます。また、サポート校は「不登校支援」のノウハウを持っていることが多く、メンタル面の相談にも乗ってくれます。「週1回、午後から登校」など、体調に合わせた通学スタイルの調整も柔軟です。
・注意点:「通信制高校の学費」+「サポート校の学費」がかかるため、費用が高額になります。

タイプ3:リハビリとして「少し通ってみたい」場合

おすすめ:『私立通信制高校の通学コース』

多くの私立通信制高校には、週1日〜週5日通学するコース(登校コース)があります。クラスは少人数制で、同じような経験を持つ生徒が多いのが特徴です。

・メリット:「学校に通う」という生活リズムが作れます。友達ができる可能性もあり、全日制高校に近い青春を取り戻せるかもしれません。
・注意点:人間関係のトラブルが起きる可能性はゼロではありません。「通えなくなったら、ネットコースに変更できるか」を事前に確認しておくと安心です。

最大の難関「スクーリング(面接指導)」をどう乗り越えるか

通信制高校を選ぶ際、ひきこもり当事者が最も心配するのが「スクーリング(登校)」です。法律上、卒業するためには一定時間数、直接授業を受ける必要があります。これをどうクリアするかが最大のポイントです。

対策1:「集中スクーリング(合宿)」型を選ぶ

沖縄や北海道などの本校に、年1回、3泊4日程度宿泊して集中的に授業を受けるタイプです。
・向いている人:「普段の通学は無理だが、年に1回、旅行気分でなら頑張れる」という人。
・メリット:その数日間さえ頑張れば、残りの360日は家で過ごせます。
・デメリット:集団での宿泊生活になるため、対人不安が極度に強い場合はハードルが高いかもしれません。

対策2:「近場のキャンパスへの通学」型を選ぶ

全国にキャンパス(学習センター)を持つ広域通信制高校の場合、自宅から通える範囲の教室でスクーリングを受けられます。
・向いている人:「宿泊は無理だが、日帰りなら通える」という人。
・メリット:生活環境を変えずに済みます。
・デメリット:ある程度の日数(週1回や月数回など)、定期的に通う必要があります。

対策3:「放送視聴」による免除制度を活用する

NHK学園高等学校などの一部の学校では、テレビやラジオ、ネットでの授業視聴報告を提出することで、スクーリングの時間数を大幅に(最大で数割程度まで)減らせる制度があります。登校日数を物理的に最小限にしたい場合は、こうした制度のある学校を探しましょう。

お金の話:学費と「就学支援金」制度

「私立の通信制高校は高いのではないか?」という不安もあるでしょう。確かに公立に比べれば高額ですが、国の制度をうまく使えば、負担を大幅に減らせます。

高等学校等就学支援金制度

家庭の年収に応じて、国が授業料の一部(または全額)を支援してくれる制度です。

・公立通信制の場合:
元々の授業料が安い(年間数万円程度)ため、この制度を使えば、授業料は実質無料になるケースがほとんどです。

・私立通信制の場合:
単位あたりの授業料に対して支給されます(1単位あたり最大12,030円まで)。世帯年収が約590万円未満の世帯であれば、私立であっても授業料が実質無料になる場合があります。
※ただし、「施設設備費」や「教育充実費」、「サポート校の費用」などは対象外となるため、年間数十万円の自己負担は発生すると考えておいた方が良いでしょう。

具体的にどんな学校がある? おすすめの例

最後に、ひきこもり経験者が検討しやすい具体的な学校のタイプを挙げます。(※これらは一例であり、入学を推奨するものではありません。必ず資料請求をして比較してください)

1. ネット活用型(N高等学校・S高等学校など)

IT企業が運営に関わっており、ネット学習のシステムが非常に洗練されています。文化祭などの行事もネット上で参加可能です。「ネットやゲームが好き」「将来プログラミングなどを学びたい」という方に相性が良く、生徒数も多いため「自分のような生徒もたくさんいる」という安心感があります。

2. 老舗・放送活用型(NHK学園高等学校など)

NHKの高校講座を活用した学習スタイルです。歴史があり、サポート体制が堅実です。中高年の方の学び直しも多く受け入れているため、落ち着いた雰囲気があります。「キラキラした青春っぽい雰囲気は苦手」という方におすすめです。

3. 手厚いサポート型(トライ式高等学院など)

これは「通信制高校」と連携した「サポート校」の代表格です。家庭教師のノウハウを活かし、不登校からの大学進学などをマンツーマンで支援してくれます。学費は高めですが、「勉強の遅れを取り戻して大学に行きたい」「家まで先生に来てほしい」という場合には強力な選択肢です。

4. 公立の通信制高校

各都道府県に1校以上設置されています。最大の魅力は「学費の安さ」です。しかし、私立のような手厚いメンタルサポートや、ネット学習環境が整っていない場合が多く、レポート提出などは「自力で頑張る」必要があります。自律的に学習できる方に向いています。

まとめ:高卒資格は、あなたの「自信」になる

ひきこもり状態にあるとき、「自分は社会からドロップアウトしてしまった」という感覚が、何より自分を苦しめます。

通信制高校に入学し、少しずつレポートをこなし、単位を取る。そのプロセスは、単に「高卒資格」という紙切れを手に入れるためだけのものではありません。

「自分にもできた」「やり遂げられた」という小さな成功体験の積み重ねが、失ってしまった自信を取り戻し、社会復帰への大きなエネルギーとなります。そして、手に入れた高卒資格は、就職や専門学校・大学への進学といった、未来の選択肢を確実に広げてくれます。

「今さら」なんて思う必要はありません。10代でも、20代でも、それ以上でも、学び直すのに遅すぎることはありません。まずは、いくつかの学校の資料を請求して(ネットで簡単にできます)、パンフレットを眺めることから、「次の一歩」を始めてみませんか。

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